染めるセルフケア
「染めるセルフケア」って、なあに?
「アーユルヴェーダは、5千年以上前のインドにルーツを持つ 世界最古の伝統医学です」
このように説明されるアーユルヴェーダに対して、魅力的に感じる人もいれば、
なにか気になるけれど、自分たちのいまの生活からは程遠いのではないか、
と感じる人もいるかもしれません。
けれども、インドの先生はこんなふうに伝えてくれました。
わたしたちのなかにすでに在る智慧のことを、アーユルヴェーダというんだよ
どこか遠くの地で生まれた知識をあたらしく学ぶのではなく、
アーユルヴェーダという智慧は、すでに自分の内に存在するものだ、と。
もしかすると、それは「本能」と言い換えることも、できるかもしれません。
アーユルヴェーダを学び、実践してみると、この智慧は、
環境や人種、年齢を問わず、ひとの暮らしに馴染む生きた知識だと実感してきました。
もし、普段の毎日の生活のなかで
わたしたちの本能へアクセスできる術やアイテムがもっと身近にあれば、
智慧=ありのままの自分自身とつながる体感がもっと増えるかもしれない。
私は15年以上、インドでアーユルヴェーダやヨガを学び、ライフワークとしてきましたが、
それ以前は漢方を学んでいました。
日本人ですからもちろん日本の暮らしが自分の土台なので、
これまでの学びを日本での実生活でどう工夫すれば心地よく健やかに生きていけるのか、
どのように伝えれば、みなさんの日本の生活に取り入れやすくなるのか、を模索しこれまでいろんな実験を重ねてきました。
そんあ
そのような中、とあるご縁で「手染め」という行為に出会います。
歴史を紐解くと、実は世界中で身心を守る術として、
自分で着る服を薬草や泥などで染めていた時代がありました。
アーユルヴェーダでは、アーユルヴァストラという概念があり、
(アーユス=生命、ヴァストラ=衣)
薬草や鉱物などで衣類を染める伝統が残されています。
自分の着る衣を、自分の手で、そしてアーユルヴェーダの薬草で染めてみたい...!
自分の体調や症状に合わせて染めた衣をまとうことで、セルフケアに繋がってゆくんじゃないか...
そんな好奇心と冒険心から「染めるセルフケア」を考えてみた、という背景があります。
体調に合わせたアーユルヴェーダの薬草(ハーブ)を、いつもの衣類に染めこんでみる、
という、古くて新しい試みです。
そもそも、すでにできてしまっている衣類を買うことの多いわたしたちには
手間もかかるだろうし、やったこともないような「染める」という行為をあえてやってみる、という、
なんとも冒険的な時間に感じるかもしれません。
でも不思議なことに、染める過程でからだとこころのかすかな声にていねいに耳を澄ますと、
時間の流れかたは変化していきます。
それはシンプルに、からだとこころとの対話であり、セルフケアに変容する時間ともいえます。
か
日常にセルフケアが在ることで、一日の中にほんの少しでも自分だけのゆったりした時間が流れ、
生活に安心感や安定感が生まれたり、
自分をマネージできる自信が湧いてきたり、肯定感が育まれていったり。
感覚のままに、身心と五感を遊ばせ、自身の手と薬草で染める。
そんな時間が、自分で自分を癒やすセルフケアにつながっていきます。
薬壺染めは火を使わず、水と桶を用意するだけ。台所や洗面所などご自宅でカンタンに染められます。